一枚の牛ステーキ肉をナイフで切ると、筋肉の繊維が一定方向に美しく流れているのがわかる。一方、成型肉は本来ならステーキ用として出荷できない小肉や余った脂身を寄せ集め、形状を整えたものだ。
ここで重要な役割を果たすのが、結着剤と呼ばれるタンパク質分解酵素の一種「トランスグルタミナーゼ」である。この酵素はタンパク質同士を強く結合させる性質を持ち、バラバラの肉片をあたかも元から一枚の肉であったかのようにしっかり繋ぎ合わせる。さらに、硬い肉を柔らかくするために牛脂を人工的に注射する「注入肉(インジェクション肉)」といった加工技術も組み合わされることが多い。
このような食品加工業の技術革新によって、私たちは本来なら硬くて筋っぽい肉を、手頃な価格で柔らかく味わうことができるようになった。コストパフォーマンスを追求する市場において、この技術が果たした貢献は決して小さくない。