主人公・くんちゃん役に抜擢されたのは、実力派として目覚ましい活躍を見せる上白石萌歌だ。本来、幼い男の子の役には子役や経験豊富な声優が選ばれるケースが多い。しかし細田守監督が選んだのは、当時まだ十代だった彼女だった。
オーディションの現場で、上白石萌歌が見せた感情の揺らぎや、理屈ではない「子供特有の言葉の突っかかり方」が決定打となった。単に声を高く作るのではなく、感情が身体全体から溢れ出るようなリアリティ。それがスクリーンを通じて視聴者の心にダイレクトに響く。劇中での感情が爆発する泣き声や笑い声は、計算し尽くされた演技を超えた生々しさを宿している。