2000年5月30日、東京都内の自宅兼オフィスで井上大輔が息を引き取っているのが発見された。死因は首吊り自殺(縊死)。事件性や第三者の関与はなく、突如として訪れた別れに日本中が息を呑んだ。現場には手書きの遺書が遺されており、そこには長年寄り添った愛妻への深い愛情と、自らの身体的・精神的な限界が痛切に吐露されていた。
当時の取材によれば、最愛の妻が深刻な眼病を患い、視力を失う恐れに直面していたことが大きな心労となっていたという。また、彼自身も慢性的な激しい腰痛と闘っており、ステージでのパフォーマンスや日々のデスクワークに支障をきたしていた。妻の介護と自身の健康悪化、そして作曲家としての完璧主義が重なり、精神的に追いつめられていった背景がある。遺書に記された「妻の目になれなかった」という悲痛な一節は、彼がどれほどの孤立感と葛藤のなかで最期の決断を下したかを物語っている。