沖縄そばとソーキそばの違いとは?肉の部位や発祥の真相を徹底解説

沖縄そばとソーキそばの違いとは?肉の部位や発祥の真相を徹底解説

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現在では沖縄を代表する看板メニューとなったソーキそばですが、その歴史は沖縄そば全体に比べると意外なほど新しいものです。昭和後期まで、沖縄そばといえば三枚肉を載せるスタイルが当たり前であり、ソーキは一般家庭や飲食店で麺に載せる発想がありませんでした。

ソーキそば発祥の歴史と経緯を辿ると、舞台は1970年代(昭和50年前後)の本島北部、名護市に行き着きます。当時、肉屋で豚肉を脱骨する際、骨にわずかに付着した肉を含むあばら骨(ソーキ)は、硬くて調理に手間がかかるため二等肉として安値で買い叩かれるか、場合によっては廃棄処分されていました。名護の食堂「我部祖河食堂」の創業者・金城源恵氏をはじめとする地元の料理人たちが、「この旨味の詰まった骨付き肉をじっくり煮込めば、極上の具材になるのではないか」と試行錯誤を重ね、誕生させたのが始まりとされています。

強火で長時間煮込み、醤油や黒糖で柔らかく仕上げたソーキを沖縄そばに豪快に載せて提供したところ、北部を行き交うトラック運転手や現場作業員の間で「スタミナがつき、圧倒的に美味い」と瞬く間に評判を呼びました。かつて見捨てられていた未利用部位を、知恵と技術で郷土の至宝へと昇華させたストーリーは、まさに琉球料理における「命豚(ぬちまーす)を余すところなくいただく」精神の具現化といえます。

沖縄そばの麺に蕎麦粉が使われない理由と「生めん公正競争規約」の闘い

本土の人間が沖縄そばを口にして最初に驚くのが、「蕎麦粉の風味が一切せず、うどんやラーメンの麺に近い」という点です。事実、沖縄そばの麺には蕎麦粉は1グラムも使われていません。原材料は小麦粉100%、かんすい(または伝統的な木灰の灰汁)、食塩、水のみです。

では、なぜ蕎麦粉が入っていないのに「そば」を名乗ることができるのでしょうか。ここには、本土復帰直後の1976年に起きた行政との激しい法闘争の歴史が存在します。

1972年の沖縄本土復帰に伴い、本土の法律である「生めん類の表示に関する公正競争規約」が適用されることになりました。同規約では「そば粉を30%以上混合していないものは『そば』と表示してはならない」と厳格に定められていたため、公正取引委員会から「沖縄そばという名称は認められない。『沖縄風うどん』または『中華麺』と表記せよ」と是正指導が入ったのです。

これに対し、沖縄生麺協同組合をはじめとする地元関係者は猛反発しました。「明治以前から琉球で愛され、県民の魂として根付いてきた『そば』の名称を奪われてたまるか」と、関係各省庁への陳情を重ね、歴史的妥当性を粘り強く主張し続けました。その結果、1978年10月17日、公正取引委員会は特例として「本場沖縄そば」としての地域団体商標登録を承認したのです。この歴史的勝利を記念し、現在でも毎年10月17日は「沖縄そばの日」として県民に親しまれています。

山下 哲也
著者

山下 哲也

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。