人気絶頂の女優が突然ペンを執り、本格派の純文学作家として認められる――。高橋洋子の経歴における最大の転機が、1980年代初頭の作家転身です。
1981年、彼女が執筆した小説『雨が好き』が第7回中央公論新人賞を受賞。さらに同作は第85回芥川賞候補にも選出され、文壇に大きな旋風を巻き起こしました。単なる「芸能人の余技」という色眼鏡を完全に払拭する緻密な心理描写と瑞々しい文章力は、選考委員からも極めて高い評価を獲得しました。
その後も1983年に発表した『通りゃんせ』で再び第89回芥川賞候補に選ばれるなど、作家としての才能を遺憾なく発揮。自身が監督・脚本を手掛けて自作の映画化に挑むなど、既存の女優の枠組みにとらわれない真のクリエイターとして独自の道を切り拓いていきました。