名門歌舞伎俳優の活躍を語る上で、舞台裏を支える「梨園の妻」の存在を無視することはできません。十代目松本幸四郎の妻であり、八代目染五郎の母である藤間園子さんは、その洗練されたマネジメント力と国際感覚で、梨園関係者からも高く評価されています。
園子さんは聖心女子大学を卒業後、アメリカ・ニューヨークのコロンビア大学サンパウロ校等でメディア論や美術史を学んだ華麗な経歴の持ち主です。外資系企業やアートプロデュースの世界で培ったグローバルな知見を活かし、夫・幸四郎の舞台プロデュースを内助の功として支えるだけでなく、長男・染五郎の育成においても類まれな手腕を発揮してきました。
実際に歌舞伎関係者の証言によると、「園子さんは伝統的なしきたりを寸分違わず守りながらも、旧態依然とした枠にとらわれない柔軟なプロモーション感覚をお持ちの方。幸四郎丈の挑戦的な試みや、染五郎丈のファッション界・映像界への進出も、奥様の確かな美意識とバックアップがあってこそ実現している」と評されています。
当代の八代目市川染五郎は、父や母の愛情と厳しい稽古のなかで、独自のクリエイティビティを開花させました。幼少期の手記や特番インタビューでは、自ら歌舞伎の絵を描き、演出プランをノートに書き留めていた姿が明かされています。単に「敷かれたレールを歩む名門の御曹司」ではなく、自らの意志で歌舞伎に恋をし、その表現の可能性に挑み続ける若きクリエイターとしての側面こそが、熱狂的な支持を集める最大の理由です。