教育現場全体で教員不足が深刻視され、小学校や中学校の教科担当教諭の採用倍率が2倍台から3倍台前半へと低下傾向を示すなか、養護教諭の採用試験倍率は依然として高止まりしています。文部科学省が公表した直近の教員採用選考試験結果によると、養護教諭の全国平均倍率は約5.5倍から6.8倍で推移しており、政令指定都市や特定県では10倍を超えるケースも珍しくありません。
倍率が極端に下がらない構造的理由は極めてシンプルです。普通教室の担任や教科担任と異なり、学校における養護教諭の配置基準は「原則1校につき1人」と法令で定められているためです。大規模校(児童生徒数850人以上など)で複数配置が認められる例外はあるものの、新規採用枠そのものが1自治体あたり数名から十数名程度と絶対的に少なく、退職者の補充にとどまる傾向が強いためです。
さらに注視すべきは、2026年現在の教員採用選考における変更点です。文部科学省の主導により、従来は夏期(7月〜8月)に行われていた第1次選考を「5月〜6月」へ前倒しする動きが全国の教育委員会で定着しました。これに伴い、大学3年次での前倒し受験制度の導入や、大学推薦枠の拡大、さらにはペーパーテスト偏重から模擬授業・場面指導・個別面接を中心とした「人物重視」への評価シフトが急加速しています。
一発合格を逃した受験者の多くは、臨時的任用講師(常勤講師・非常勤講師)として産休・育休代替枠や病休代替枠で学校現場に入り、実務経験を積みながら翌年の採用試験に挑みます。教育委員会によっては「講師経験者に対する1次試験の一部免除」などの優遇措置を設けている地域もあり、現場で児童生徒や保護者と向き合った実践力が合否を分ける決定打となっています。