見ず知らずのサークルに参加し、そこで怪しい勧誘に巻き込まれてしまう人たちを「情報弱者」と一刀両断することはできません。そこには、社会心理学で説明される巧妙な心理誘導が存在します。
新しい環境に一人で飛び込む参加者は、「グループに受け入れられたい」「孤立したくない」という承認欲求や適応への不安を抱えています。悪質な勧誘集団はこの心理状態を徹底的に利用します。初対面から過剰な肯定や賞賛を浴びせることで「好意の返報性(親切にされたら恩を返さなければならないと感じる心理)」を植え付け、相手への心理的防壁を解いていきます。
さらに、社会人サークル特有の「仲間意識」や「連帯感」が集団同調圧力を生み出します。周りのメンバー全員が「あの人は本当に尊敬できる起業家なんだ」と同調している環境に置かれると、個人の健全な批判的思考は急速に麻痺していきます。
ここで極めて重要になるのが、心理学で言うところの「心理的バウンダリー(自分と他者の境界線)」を厳格に保持することです。「スポーツを一緒に楽しむ関係」と「プライベートな金銭・人生設計に関わる関係」の間に強固な一線を引き、「どんなに良い人そうに見えても、スポーツ以外の領域に踏み込まれたら即座に撤退する」という明確なルールを自分の中に設定しておく必要があります。