歴史的には、1960年代後半から1970年代にかけて大流行したシンナー(有機溶剤)の吸引によって、若者が幻覚や幻聴に襲われ、千鳥足で徘徊する姿を「ラリる」と形容することが社会問題となりました。有機溶剤は脳の脂質を溶かし、不可逆的な神経障害を引き起こす極めて有害な物質です。
現在においては、指定薬物だけでなく、精神科で処方される睡眠薬や精神安定剤の過剰摂取(オーバードーズ)、さらには市販の風邪薬や咳止め薬の乱用によって同様の重篤な酩酊状態に陥るケースが多発しています。ベンゾジアゼピン系薬剤などを規定量を超えて摂取すると、記憶が完全に抜け落ちる前向性健忘や、突発的な異常行動を招く危険があります。
「一時的な気晴らし」のつもりであっても、耐性がついて摂取量が増加すれば、呼吸抑制や心停止といった命に関わる急性中毒を引き起こしかねません。