絵の具の茶色の作り方と黄金比|濁らない混色術とプロの配合レシピ

絵の具の茶色の作り方と黄金比|濁らない混色術とプロの配合レシピ

絵の具の茶色の作り方と黄金比|濁らない混色術とプロの配合レシピに関する最新のニュースをまとめてご紹介します。関心のある方は必見です。

SNSの知恵袋や学校の図工指導現場などを取材・検証すると、長年放置されている典型的な誤解が存在します。それが「黒を混ぜれば手っ取り早く暗い茶色になる」という言説です。

美術大学の油画研究室や第一線で活躍するプロの画家たちに取材を行うと、一様に「暗部を作るために市販のチューブのブラックを混色に持ち込むのは悪手である」と口を揃えます。絵の具の黒(ランプブラックやアイボリーブラック)は極めて強い隠蔽力と無彩色の性質を持ち、他の色の彩度を一瞬でゼロ近傍まで叩き落としてしまいます。結果として、絵画の中に不自然な「黒い穴」が空いたような違和感を生んでしまうのです。

プロが実践するアプローチは、黒ではなく「ウルトラマリンブルー」や「インディゴ」、あるいは「ディオキサジンバイオレット(紫)」を茶色の影色として溶かし込む技法です。青や紫によって落とされた影は、色相の響き合い(カラーハーモニー)を保ったまま深みを増し、画面全体の空気遠近法を崩しません。

また、文具メーカー各社が販売する学童用12色セットの混色チャート調査においても、茶色(バーントシェンナ)のチューブ自体が赤・黄・黒の複合顔料で作られているケースが少なくありません。チューブから絞った既成の茶色だけで画面を埋め尽くすと、どうしても平面的で既視感のある仕上がりになります。あえて補色や三原色から自作した茶色を主軸に置くことで、画面の中に複雑なトーンの変化が宿るのです。

【プロの結論】表現の幅を広げる混色実践とおすすめの選び方

制作のスピードや目的に応じて、混色を自作すべき場面と、市販のチューブ絵の具に頼るべき場面を明確に区別することが制作効率とクオリティの最適化に繋がります。

自作の混色が絶対に向いているケース:
・風景画の樹木、土壌、山肌など、自然界の有機的な質感をリアルに描き出したいとき
・人物の肌の陰影や、瞳、髪の毛のハイライトからシャドウまで滑らかに連続させたいとき
・パレットにある限られた色数で画面全体の色調統一(トーン・オン・トーン)を図りたいとき

市販チューブ(ローアンバー、バーントシェンナ等)を購入すべきケース:
・下地塗り(地塗り)や下書きのエスキースで、大量の茶色を一気に消費するとき
・工業製品やパッケージデザイン、イラストの均一なベタ塗りで、途中で色ムラを起こしたくないとき
・混色にかける時間的猶予がなく、瞬時に一定の明度・彩度を確保したいとき

橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。