市場関係者が口を揃えて「日本企業で最もドラスティックな変革」と称賛するのが、日立が断行した事業ポートフォリオの再編です。過去に約7800億円超の巨額赤字を経験した同社は、上場子会社を多数抱える親子上場の弊害(コングロマリット・ディスカウント)に苦しんでいました。しかし、日立化成、日立金属、日立建機といった名門グループ企業を次々と売却・非連結化し、得られた資金を成長分野へ一気に振り向けました。
日立の構造改革が成功した理由は、単なる「縮小均衡のリストラ」ではなく、「選択と集中による高収益事業の獲得」を徹底した点にあります。スイスの重電大手ABBからパワーグリッド(送配電)事業を買収し、さらに米国のデジタルエンジニアリング企業GlobalLogicを約1兆円で傘下に収めた動きは、世界市場での競争ポジションを一変させました。
現在、日立の利益成長を牽引しているのが、独自のデジタルソリューション群であるLumada(ルマーダ)事業の業績と成長性です。鉄道やエネルギーといった社会インフラのハードウェアに、高度なデータ解析やAIを掛け合わせ、運用保守から継続的なリカーリング(サブスクリプション型)収益を生み出すビジネスモデルを確立しました。従来の「作って売る」製造業から、「運用して高収益を得る」高収益プラットフォーマーへと進化したことこそが、日立の株価がなぜ上がったのかという問いに対する決定的な回答です。