顔の中でも、特に「唇や口元」へ執着するように舌を伸ばしてくる行動には、進化の歴史に根ざした強烈な生存本能が関係しています。
野生のイヌ科動物やオオカミの幼獣は、狩りから戻った成犬の口周りを激しく舐め刺激することで、親が胃の中に収めて持ち帰った肉を吐き戻させ、それを離乳食として摂取していました。この「口周りを舐めて食物をねだる行動」は、遺伝子レベルで現代の家庭犬にも深く刷り込まれています。
人間と暮らす成犬であっても、飼い主の帰宅時や調理後に口周りを執拗に舐めようとするのは、この給餌要求行動の名残です。犬が口周りを舐める理由は、甘えたい感情と「獲物の分配を求める原初的本能」が重なり合った結果生じている現象です。