クライアントへの謝罪や節目ごとの挨拶、あるいは新規開拓の現場において、手土産を渡すシーンはビジネスの成否を分ける極めて繊細な局面です。ここでも手土産を持参するマナーと言葉遣いが相手の信用を大きく左右します。
まず所作としての鉄則は、持参した手土産を紙袋のまま差し出さないことです。応接室へ通された後、紙袋から品物を取り出し、相手から見て正面になるよう時計回りに向きを変えて両手で差し出します。持ち運びに使った紙袋は速やかに小さく畳み、足元や手元に引き寄せるのが礼儀です。ただし、相手が持ち帰ることを想定した外出先での会食などの場合は、「紙袋のまま失礼いたします」と一言添えて渡すのがスマートな気配りとされます。
所作と同時に口にする添え言葉のトレンドも、昭和・平成から令和にかけて大きな変遷を遂げています。かつて定番とされた「つまらないものですが」という台詞は、謙譲が行き過ぎて「本当につまらないものを他人に渡すのか」と捉えられるケースが増加しました。現在は以下のような、相手への配慮が素直に伝わるフレーズが推奨されています。
- 「心ばかりの品ですが、皆様でお召し上がりください」
- 「弊社の地元で大変好評の銘菓でございます。お口に合えば幸いです」
- 「評判の焼き菓子と伺い、ぜひ皆様にとお持ちいたしました」