四季島の乗車申し込みにおいて、最大の関門となるのが「抽選倍率」です。公式発表データによると、2017年5月の運行開始初年度における一番列車では、全コース平均で約76倍、最高倍率となった四季島スイートでは76倍を超える驚異的な数字を記録しました。
年数が経過した現在でも、一般的な販売枠の予約倍率は平均して3倍から5倍程度を維持しています。特に紅葉シーズンやゴールデンウィーク、さらには唯一無二の設備を誇る「四季島スイート」の枠に限ると、10倍以上の高倍率になることも珍しくありません。「何度応募しても当たらない」という声がネット上に溢れる構造的な要因は、以下の3点に集約されます。
第一に、定員の絶対的な少なさです。10両編成という長大な車両でありながら、客室はわずか17室、定員は最大でも34名に制限されています。先頭・最後尾の展望車、ダイニング、ラウンジといった共有スペースに贅沢な面積を割いているため、1年間に乗車できる乗客の総数は物理的に約2,000〜3,000名程度に限られます。
第二に、JR東日本直営枠と提携旅行会社枠の分散です。ツアーの申し込み方法は、JR東日本が運営する「びゅうトラベルサービス」の特設公式ページからのダイレクト申し込みが基本となりますが、一部の出発日・部屋枠は大手旅行代理店(JTBや日本旅行等の富裕層向け特別パッケージ)に割り振られています。公式ルートで申し込む一般枠が実質的に削られるため、体感倍率がさらに高くなる仕組みです。
第三に、熱烈なリピーターの存在です。四季島は「春・夏」「秋」「冬」で巡るルートや提供される食材、車内演奏のアーティストがガラリと変化します。一度乗車してサービスの質の高さに魅了されたシニア層や富裕層が、季節を変えて再度応募を繰り返すため、新規申込者が限られた枠を奪い合う構図が継続しています。