現在の相場水準を正確に捉えるには、過去の足跡を俯瞰することが不可欠です。ドル円過去10年推移グラフを振り返ると、相場の潮目がどこで完全に切り替わったのかが明確に浮かび上がります。
2010年代半ば、アベノミクス下の大規模金融緩和によって1ドル=80円前後から120円台へと修正された相場は、2016年から2026年にかけては105円から115円前後の狭いレンジで安定して推移していました。市場関係者の間でも「1ドル=100円を割り込めば介入警戒、115円を超えれば頭打ち」という暗黙の了解が成立していた時期です。
その均衡を粉砕したのが、2026年の世界的なインフレ爆発とウクライナ情勢の緊迫化でした。FRBが政策金利を5%超まで急ピッチで引き上げる一方、日銀は長短金利操作(YCC)を頑なに継続。これにより、チャートは抵抗線を次々と突破し、2026年7月には1ドル=161円95銭付近という、実に1986年12月以来およそ37年半ぶりの水準を記録するに至りました。
市場の歴史を紐解けば、ドル円レート推移歴代最高値は変動為替相場制移行後の1970年代から見ると固定相場制時代の360円ですが、円の価値が最も高まったのは2011年10月の75円32銭です。そこから見れば、わずか10余年で円の価値は半分以下に毀損した計算になります。この急激な変化は単なる循環的な為替サイクルではなく、世界における日本経済の相対的なプレゼンス低下を鮮明に映し出しています。