猿回しは本当にかわいそう?動物虐待疑惑と伝統芸能の裏側を追う

猿回しは本当にかわいそう?動物虐待疑惑と伝統芸能の裏側を追う

猿回しは本当にかわいそう?動物虐待疑惑と伝統芸能の裏側を追うの真相について、分かりやすい解説を取りまとめてご紹介します。

猿回しの起源は古く、平安時代から鎌倉時代にまで遡ります。もともとは武家の軍馬を病気や厄災から守るための「馬曳き(うまひき)」神事に由来し、サルは神の使い(神猿=まさる)として崇められていました。江戸時代には庶民の娯楽として定着し、正月の祝い事や厄除けの儀礼として町々を巡業する芸能へと発展していきました。

明治から大正、昭和初期にかけて急速に衰退し、一時は完全に途絶えかけましたが、1970年代後半に「周防猿まわしの会」などが中心となって伝統芸能の復活運動が巻き起こりました。失われかけた日本の民俗文化を復興させた功績は、文化庁からも高く評価されています。

しかし21世紀に入り、世界的に「動物を人間の見世物にしない」という国際世論が形成されました。ヨーロッパ諸国を中心にサーカスでの野生動物利用が相次いで法的に禁止されるなか、日本の猿回しも国際的な動物愛護基準(アニマルウェルフェアの「5つの自由」)と真っ向から衝突することになります。「千年の歴史を持つ無形文化遺産」という擁護論と、「現代の倫理観にそぐわない前時代的な見世物」という批判論は、今なお平行線を辿っています。

山本 拓海
著者

山本 拓海

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。