長年愛される国民的刑事ドラマ『相棒』の世界観は、この警視庁と警察庁の権力関係を非常にリアルに描写しています。
主人公・杉下右京が所属する「警視庁特命係」は、警視庁本庁の片隅に追いやられた窓際部署です。右京自身は東京大学法学部卒のキャリア警察官(警部)でありながら、出世コースから外れて警視庁内部の厄介者として扱われています。
ドラマ内でたびたび特命係と対立・交錯した警察庁長官官房室長(通称・官房長)の小野田公顕は、まさに警察庁の最高幹部でした。小野田官房長が警視庁の幹部たちを意のままに動かしたり、国家レベルの政治的思惑から捜査にブレーキをかけたりする描写は、国家機関である警察庁と現場機関である警視庁の力関係そのものです。警察庁が国家の治安維持や組織防衛を最優先するのに対し、警視庁の捜査員が現場の真実や正義にこだわるという構図は、実際の警察組織が抱えるジレンマを的確にデフォルメしたエンターテインメントといえます。