従来の茶碗蒸し作りで最大の壁となっていたのが、「出汁の濃度と塩分のコントロール」だ。濃口醤油を加えると卵液の色が黒ずみ、料亭のような淡い黄色に仕上がらない。かといって塩だけで味を調えるのは、出汁の濃さとの兼ね合いが難しくプロでも至難の業だった。
ここで威力を発揮するのが白だしだ。白だしは、白醤油や薄口醤油をベースに、鰹や昆布、椎茸などの濃縮出汁と塩分が絶妙なバランスで配合されている。素材の色を損なわずに強い旨味を補えるため、卵液の美しさをそのままキープできるのだ。料理家たちが口を揃えて推奨する標準的な黄金比は「卵1個(約50ml)に対して、水+白だしを合わせて150ml〜200ml(約3〜4倍希釈)」。この水分の割合さえ守れば、誰でも液体の凝固状態を最適に保つことができる。