不動の滝から少し歩を進めると、崖面にぽっかりと口を開けた不思議な横穴が現れる。これが古墳時代末期から奈良時代にかけて造営されたとされる「等々力渓谷3号横穴」だ。この周辺には複数の横穴墓が存在するが、3号横穴は保存状態が極めて良好で、当時の有力農民層の埋葬文化を今に伝える貴重な史跡に指定されている。
横穴の内部からは人骨とともに装飾具や須恵器が出土しており、はるか千年以上も昔から、この湧水豊かな渓谷のほとりに人々の暮らしと祈りが息づいていたことを雄弁に物語る。コンクリートジャングルの直下にこのような古代遺跡が手付かずの空気感を残して保存されている事実は、東京という都市の重層的な歴史の深さを実感させてやまない。