1964年にNHKドラマ『幸福試験』でデビューし、翌年東映に入社した彼女は、高倉健さん主演の国民的人気シリーズ『網走番外地』など多数の話題作に抜擢されました。この大原麗子映画経歴の初期において、彼女は清純派の可憐な少女から、次第に大人の女性としての艶っぽさを求められる役柄へとシフトしていきます。
ファンの間で語り継がれる大原麗子濡れ場シーンの代表例としては、1970年代のドラマや文芸映画におけるベッドシーンが挙げられます。しかし、それらは決して肌の過度な露出に頼るものではなく、シーツの陰影、息遣い、視線の交錯によって極限の情念を表現する演出でした。
映画監督の降旗康男氏や市川崑氏ら名匠たちは、彼女の持つ「ハスキーな声」と「憂いを帯びた瞳」が醸し出す天性の官能性を高く評価していました。例えば、映画『居酒屋兆治』(1983年)で見せた兆治(高倉健)への断ち切れぬ想いを抱えるさよ役では、一切の裸体を見せることなく、ただそこに佇むだけで漂う凄絶な色香を放ち、日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞しています。露悪的な見せ方を拒み、表現の深さで勝負したことこそが、彼女の女優魂でした。