「草」というスラングがアンダーグラウンドな領域から爆発的に広がった背景には、「2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)」の実況掲示板と、動画共有サービス「ニコニコ動画」のコメント文化という2大プラットフォームの存在があります。
2000年代後半、2ちゃんねるの「なんでも実況J(なんJ)」などの掲示板では、独特のスラング体系(なんJ語)の中で「草生える」が頻繁に使われるようになり、掲示板ユーザーの間で共通言語化していきました。テキスト中心のコミュニケーションにおいて、一文字でユーモアや共感を表現できる利便性が、定着を急速に後押しした形です。
さらに決定的な拡散の契機となったのが、2007年以降に全盛期を迎えたニコニコ動画です。画面上を右から左へとリアルタイムに文字が流れる独自のインターフェースにおいて、面白いシーンで大量の「wwww」が画面を埋め尽くす現象は「弾幕」と呼ばれました。緑色のコメント機能と合わさることで、視覚的にも「一面の草原」が出現する状態が可視化され、動画を視聴するライト層へも「草=笑い」の図式が直感的に刷り込まれることになりました。