岸信介という政治家を現代の視点から評価する際、その功罪は今なお鋭く分かれています。
功績の側面では、新安保条約の締結によって日米の相互防衛体制を確立し、日本が経済成長に専念できる安全保障の枠組みを作った点が挙げられます。また、内政においても国民皆保険・国民皆年金制度の基盤を整え、高度経済成長への足がかりを築いた内政手腕は高く評価されています。
一方で批判の側面としては、議会制民主主義を軽視するかのような強権的な手法、政財界と黒幕を結ぶ利権政治の土台を作ったこと、そして冷戦構造を利用した反共運動の導入がもたらした禍根などが挙げられます。まさに「光」と「影」が極端な形で同居した存在であり、日本の戦後体制そのものを体現した政治家でした。