では、ローズマリーの防虫力は過大評価なのでしょうか。結論から言えば、ローズマリー蚊ゴキブリ対策としてのポテンシャルは学術的にも極めて高い評価を得ています。鍵を握るのは、ローズマリー特有のスッとする清涼感を生み出すテルペン系化合物です。
主成分である「1,8-シネオール(ユーカリプトール)」と「カンファー(樟脳成分)」、「α-ピネン」は、昆虫の神経伝達物質であるオクトパミンの受容体を麻痺させる働きを持ちます。オクトパミンは昆虫特有の覚醒や行動を司る神経物質であり、哺乳類には存在しません。そのため、人間にとってはリフレッシュできる心地よいハーブ香でありながら、蚊やゴキブリにとっては強烈な神経毒・忌避シグナルとして機能するのです。
農学研究の実験データにおいても、ローズマリー精油を揮発させた空間ではヒトスジシマカの吸血行動が80%以上抑制され、ゴキブリの通路にカンファー高濃度の抽出液を塗布した試験では90%以上の回避率を記録しています。つまり、問題は「植物自体に力がない」のではなく、「有効成分を適切な濃度で空気中に放散させているか」という一点に尽きます。