アンパンマンの必殺技といえば強烈な打撃を与える「アンパンチ」ですが、メロンパンナちゃんの代名詞である「メロメロパンチ」は、作中において極めて特異かつ最強格の特殊効果を誇ります。拳からハート型の光線を放ち、相手に直撃すると、どんな凶暴な敵であっても目からハートを飛び散らせ、戦意を完全に喪失して腑抜け状態になってしまいます。
物理的な破壊を伴わずに相手を無力化するこの効果は、警察や自衛隊でいうところの「非致死性兵器」の究極形とも解釈できます。バイキンメカを操るばいきんまんはもちろんのこと、普段は言葉の通じない巨大怪獣やかびるんるんの集団に至るまで、メロメロパンチの直撃を受けた者はことごとくメロメロになり、平和的な撤退を余儀なくされます。
なぜパンチという格闘技の形態を取りながら、攻撃ではなく「愛」を注ぎ込むのか。これについてやなせ氏は生前のインタビューで、「憎しみに憎しみで返せば戦いは終わらない。相手の心を温かさで満たすことこそが本当の勝利である」という趣旨のメッセージを繰り返し語っていました。メロメロパンチの効果と理由の深層には、単なるコミカルな演出を超えた、平和主義のメッセージが息づいています。