本作のクライマックスにおいて、最も視聴者の胸を締め付けるのがクリスマスの朝に繰り広げられたザクII改とアレックス(ガンダムNT-1)の死闘、そして物語のラストシーンです。
ジオン軍新兵のバーナード・ワイズマン(バーニィ)が命を賭してガンダム撃破に挑んだ最大の動機は、中立コロニー「リボー」に向けられたジオン軍艦隊による核攻撃を阻止することでした。しかし運命は残酷でした。連邦軍の哨戒網によって核弾頭を積んだジオン軍のフォン・ヘルシング艦隊は直前に拿捕され、リボーへの核攻撃計画は完全に消滅していたのです。
父からその事実を聞かされたアルは、戦闘を止めようと叫びながら雪の積もる森林公園へと必死に駆け込みます。しかし、少年の幼い全力疾走は間に合いませんでした。森の木立を抜けたアルの眼前で、ヒート・ホークとビーム・サーベルが互いを貫き、コクピットを直撃されたバーニィは肉体ごと消失する凄惨な最期を遂げました。さらに過酷な真実は、ザクを撃墜したアレックスのテストパイロットが、アルが実の姉のように慕っていた隣家の女性クリスチーナ・マッケンジー(クリス)だったことです。ふたりは互いの正体を知らぬまま、殺し合ってしまったのです。
終業式の校庭で、校長が「戦争の悲惨さ」について壇上から綺麗事のスピーチを並べ立てる中、アルの瞳から大粒の涙がとめどなく溢れ出します。友人たちはアルが泣いている理由を理解できず、「泣くなよアル、戦争はまたすぐ始まるさ!今度はもっと派手でデカいやつがさ!」と無邪気に励まします。アルが泣いた決定的な理由は、「戦争がカッコいい遊びではなく、取り返しのつかない絶対的な喪失であること」、そして「バーニィの死が無意味な犬死にであった事実を自分ひとりしか背負う人間がいない孤独」に押し潰されたからに他なりません。