最新の心理学的アプローチにおいて、過度な正義感は二面性を持つ認知の偏りとして分析されている。日本心理学会をはじめとする国内外の学術シンポジウムで報告された研究によれば、自己の正義を強く主張する個人の多くは、本心では強い不安や自己肯定感の低さを抱えているという。己の正しさを証明することでしか自尊心を保てない構造が、他者への不寛容さを生み出しているのだ。
スイスの精神分析医カール・ユングが提唱した「シャドウ(影)」の理論は、この事象を説明する強力な鍵となる。人は自身の中に潜む醜悪さや弱さを認められないとき、それを他人に投影し、「悪」として叩くことで自らの清潔さを保とうとする。正義を振りかざす行為が、実は自己の内的葛藤からの逃避であるというリスクは、個人の人間関係だけでなく組織全体のメンタルヘルスをも脅かす。