ダンボールを縛る際、渾身の力で結び目を引っ張ったにもかかわらず、持ち上げた瞬間に紐がスルスルと緩んでしまう最大の原因は、ダンボール特有の反発弾性とビニール紐の摩擦係数の低さにあります。波状の中芯を持つ段ボールシートは、上からの圧力に対して元の厚みに戻ろうとする強い復元力を備えています。縛る瞬間に上から体重をかけて一時的に潰しても、手を離した瞬間に元に戻る力が働き、結び目の隙間へと紐が押し出されてしまうのです。
さらに、多くの人がやりがちな「ダンボールを持ち上げて下へ紐を通す作業」が、致命的な緩みを生み出します。古紙回収の現場作業員への取材でも、「持ち上げた際にダンボール同士がズレて隙間が生まれ、そこへ紐が食い込むことで全体のテンション(張力)が失われる」という構造的な欠陥が指摘されています。特にポリプロピレン(PP)製の平テープ(いわゆるスズランテープ)や細いビニール紐は表面が滑りやすく、交差部分がロックされていないと一度の振動で一気に崩壊へと繋がります。