本作には、長年生物学的な見地や翻訳の観点から議論されてきた興味深い「トリビアと誤解」が存在します。
ネット上で時折指摘されるのが、「蝶になる昆虫はサナギ(蛹)であり、繭(まゆ)を作るのは蛾(ガ)ではないか?」という疑問です。実際、日本語版のテキストでは「あおむしは、まゆをつくってそのなかにこもりました」と記述されています。
これに対し、原作者のエリック・カールは生前のインタビューで意図を明かしています。幼少期、父親から「あおむしは自分の家(まゆ)に入って眠るんだよ」と詩的に教えられた思い出を大切にし、あえて専門用語の「chrysalis(蛹)」ではなく、子どもの想像力に寄り添う「cocoon(まゆ)」を採用したという背景があります。科学的厳密さよりも子どもの情操とファンタジーのリアリティを最優先した結果であり、もりひさし氏の訳もその作家精神を誠実に継承しています。
また、初期の構想段階ではあおむしではなく「本を食べる虫(紙喰い虫のウィリー)」という主人公案でした。担当編集者が「太った緑の虫のほうが魅力的ではないか」と助言したことで、今日の世界的アイコンが生み出されたという裏話も、作品の生命力を物語るエピソードです。
【プロの結論】通常版とボードブック版、どちらを選ぶべきか?
迷わずボードブック版を選ぶべき人:1〜3歳未満の乳幼児がいる家庭、出産祝いのプチギフト、外出先で読ませたい保護者。厚紙のため破られず、唾液によるふやけにも強い耐久性があります。
通常版(大型ハードカバー)を選ぶべき人:4歳以上で絵本の扱いが丁寧になった子ども、エリック・カールのコラージュ美術を大画面で鑑賞したい家庭、卒園・入学の記念ギフト。