妊娠8週目(8週0日〜8週6日)を迎えると、産科医学上の大きな節目が訪れます。これまで「胎芽(たいが)」と呼ばれていた受精卵は、妊娠8週末をもって「胎児(たいじ)」と呼ばれるようになります。脳、心臓、肝臓、腎臓といった人間として生きるための主要な生命維持器官の基礎設計が完了し、ここからは急速なサイズアップと機能の成熟期へと移行するためです。
この時期の妊婦健診で最も注目される指標が、頭の先からお尻までの長さを測るCRL(Crown-Rump Length:頭臀長)です。妊娠8週における赤ちゃんの大きさは、およそ15mmから20mm(イチゴや小さなグミ程度)に達します。妊娠初期の胎嚢(GS)の大きさには個人差が大きいものの、妊娠8週〜11週頃のCRLは胎児ごとの個体差が極めて小さいため、医師はこのCRLの数値を測定して正式な「出産予定日」を最終確定させます。
8週目のエコー写真を見ると、丸いリング状の「卵黄嚢(赤ちゃんへ栄養を送るお弁当箱)」の横に、雪だるまのような形をした頭と体が写し出されます。高性能な経膣超音波装置であれば、小さな手足の突起や、勢いよく拍動する心臓(ドップラーエコーで確認可能)を肉眼で捉えることができます。「エコー写真で手足がちょこんと動く姿を見て、初めて母としての実感が湧いた」と振り返る女性が多いのも、この時期特有の感動的な光景です。