法テラスや弁護士会の多重債務相談において、相談員が最も胸を痛めるのが「自分は1円も使っていないのに、親友や兄弟の借金を背負わされた」という連帯保証人の事例です。債務整理を取り扱う現場弁護士の証言によると、自己破産申立件数のうち、およそ1割強が「他人の保証債務の巻き添え」によるものとされています。
ある地方都市に住む50代の会社員男性は、実弟が起業した飲食店の運転資金1,500万円について、銀行融資の連帯保証人を引き受けました。「弟を応援したい」「名義だけで迷惑はかけないと言われた」という善意からでした。しかし、感染症禍の余波や原材料高騰が直撃し、店舗は経営破綻。弟は弁護士を通じて自己破産を申し立てました。
男性のもとに届いたのは、金融機関からの「残債1,200万円の一括返済請求書」でした。主債務者が自己破産しても請求はストップせず、すべてが連帯保証人へと向かいます。抗弁権を持たない男性は分割交渉も難航し、結果として借金による連帯保証人の差し押さえが執行されました。マイホームは競売にかけられ、給与の4分の1が毎月天引きされる事態に直面し、最終的に男性自身も自己破産を選ばざるを得なくなりました。
SNSや知恵袋の投稿を検証しても、「叔父の借金の督促状が突然届き、家族会議が地獄絵図になった」「印鑑証明書を渡した過去の自分を殺したい」といった後悔の告白が溢れています。一度署名捺印した以上、「事情を知らなかった」「ただ頼まれただけ」という主観的主張は法廷で一切通用しません。