ガットゥーゾを語る上で絶対に外せないのが、稀代のレジスタであるアンドレア・ピルロとのコンビネーションです。当時のカルロ・アンチェロッティ監督が築き上げた「クリスマスツリー型(4-3-2-1)」および「中盤フラットの4人MF」システムにおいて、ふたりは表裏一体の関係でした。
ピルロが中盤の底から長短のパスを自在に散らすことができたのは、すぐ隣でガットゥーゾが相手の攻撃の芽をことごとく摘み取っていたからに他なりません。「ピルロが絵筆なら、ガットゥーゾは絵の具を奪われないための盾」と称されたこの役割分担は、戦術的にも極めて合理的でした。ピルロの守備負担を最小限に抑え、ボールを奪った瞬間に即座に預けることで、ミランの鋭いカウンターと安定したポゼッションが成立していたのです。
ふたりの絆はピッチ外でも有名で、ピルロの自伝では「ガットゥーゾによくフォークで刺されそうになった」というユーモラスな悪ふざけのエピソードが幾度となく明かされています。強固な信頼関係があったからこそ、2000年代のACミラン黄金期と2006年のワールドカップ優勝という金字塔が打ち立てられました。