犯罪社会学および組織論の観点から野内組および六代目山口組の軌跡を分析すると、日本における伝統的ヤクザ組織が直面している「構造的機能不全」が浮き彫りになります。
かつての暴力団社会では、カリスマ的な指導力と強力な武力行使によって縄張りを広げ、傘下組織を統制するモデルが機能していました。しかし、平成から令和にかけて法制度が完備された結果、トップや最高幹部への「使用者責任(民法715条)」の追及や、暴力団排除条項の徹底が定着しました。これにより、下部組織の違法行為が即座に上層部の刑事・民事責任へと波及するリスク構造が完成したのです。
組織論における「資源依存理論」に照らし合わせても、若手構成員の新規獲得(リクルート)がほぼ途絶し、構成員の平均年齢が50代後半以上に達している現状では、どれほど有力な幹部が指揮を執ろうとも持続可能性を保つことは困難です。野内正博氏を中心とする組織の盛衰は、法執行の近代化に伴い、アウトロー組織が社会的に存立し得なくなった歴史的プロセスを端的に物語っています。