数ある司忍のエピソードの中でも、世間に最も強烈なインパクトを与えたのが、2011年(平成23年)4月9日における東京都府中刑務所からの出所シーンです。
2005年の六代目組長就任直後、銃刀法違反(共謀共同正犯)の罪で懲役6年の実刑が確定し服役。約5年4カ月の刑期を終えて姿を現した際、彼が身にまとっていたのは、ブラウン系のコートに鮮やかなマフラー、そして頭上を飾る高級ソフト帽(ボルサリーノ風)という洗練された出で立ちでした。この司忍の出所ファッションは主要ニュース番組や週刊誌で大々的に報道され、SNSや海外メディアでも「映画のワンシーンのようだ」と大きな話題を呼びました。
しかし、その華やかな出所の裏にあった獄中生活は極めて過酷であり、同時に彼の規律正しさを物語る記録が残されています。報道関係者や刑務所関係筋の証言によると、当時の府中刑務所は定員約3,200人に対して収容者が大幅に超過する過密状態にあり、本来の単独室を複数名で運用するほどの状況でした。その中で司忍の呼称番号は「5100」が割り当てられ、舎房2階の最奥にある独居房に収容されていました。
獄中において彼は一切の特権を誇示することなく、刑務官の指示に粛々と従い、規律違反を犯さない「一級の模範囚」として刑期を全うしたとされています。この徹底した自己管理能力こそが、単なるアウトローの枠を超えて伝説化される本質的な要因と言えます。