エースベーカリーの工場直売アウトレットを訪れた買い物客がまず息をのむのは、値札に印字された数字の規格外な低さです。通常、百貨店や洋菓子専門店でホールで購入すれば1,500円から2,000円前後、スーパーの袋菓子でも300〜400円は下らない厚切りバウムクーヘンが、大容量の袋詰めで1袋100円〜300円前後という駄菓子感覚の価格で山積みにされています。
一体なぜ、これほどまでに圧倒的な低価格を維持できるのか。その理由は、食品製造における「歩留まり」と「フードロス削減」のメカニズムにあります。大手流通チェーンやプライベートブランド(PB)向けの洋菓子を1日に数万個単位で大量生産する過程では、どうしても「両端の切り落とし」「焼き色のムラ」「わずかな形の歪みや重量過不足」といった規格外品が発生します。味や衛生基準、品質には一切問題がないにもかかわらず、一般の流通ルートには乗せられない製品群です。
本来であれば産業廃棄物として処理費用をかけて処分されるはずだった良質な端材を、簡易包装のまま自社敷地内で直接生活者へ還元する。中間流通マージンや個別パッケージ代、輸送コストをゼロに抑え、工場側は廃棄コストを利益に変え、消費者は良質な菓子を破格で手に入れるという完璧な共存共栄のサプライチェーンがここに成立しています。