福岡県小郡市横隈に位置する如意輪寺は、天平年間(729年)に行基菩薩によって開創されたと伝わる真言宗御室派の古刹です。本尊である「木造如意輪観音立像」は平安時代の作とされ、座像が多い如意輪観音としては極めて珍しい立像の形態をとっており、福岡県の指定文化財にも指定されています。
そんな重厚な歴史を持つ寺院が「かえる寺」として親しまれるようになった契機は、1992(平成4)年に当時の住職・原口白峯氏が中国・桂林を訪れた際、翡翠(ひすい)で彫られたカエルの置物を持ち帰ったことに始まります。
住職はカエルの持つ言葉の響きに着目し、「気持ちを若がえる」「初心にかえる」「無事にかえる」「福がかえる」「お金がかえる」といった、人々の心を前向きに切り替える人生訓をカエルの姿に託しました。単なる言葉遊びにとどまらず、仏教の「自省」や「再生」の精神を分かりやすく伝える手段として境内に蛙像を置き始めたところ、その趣旨に共鳴した参拝者や全国の信徒からカエルの置物や彫刻が次々と奉納されるようになり、2026年現在では境内に1万体を超えるカエル像が鎮座するに至っています。