ネット上の掲示板や知恵袋などで「ボルボのリモコンキー電池交換で1万円以上取られた」という書き込みを目にすることがあるが、これは明らかな事実認知的ギャップ、あるいは情報伝達の過程で生じた誇張である。正規ディーラーに持ち込んだ場合の実際の費用と、自力交換のランニングコストを客観的データで比較してみよう。
取材と現場調査の結果判明した「高額請求の噂」の正体は、シェルを無理にこじ開けて内部基板を損傷させたり、爪を折ってキーが復元できなくなったりしたオーナーが、リモコンキーの丸ごとアッセンブリー交換とECU再コーディングを余儀なくされた際の費用(6万〜9万円)が尾ひれをつけて広まったものである。定期点検のついでに依頼すれば、実費数百円のみで工賃を取らないディーラーも珍しくない。
また、注意すべきは車種と年式による「電池の規格違い」である。現行のXC60、XC40、V60、V90、S60などに用いられる直方体キーは一律で「CR2032」を採用している。一方で、旧世代に該当するV40(2013〜2019年モデル)や前期型XC60・V60で採用されていた、長方形でスロットに差し込むタイプのPCC(パーソナル・カー・コミュニケーター)キーは「CR2430」という大型薄型のコイン電池を使用する。形状が酷似していても直径や厚みが異なるため、購入前に必ず取扱説明書や既存の電池表面の刻印を確認することが肝要だ。