1972年3月から1973年3月まで全52話にわたって木曜夜7時半枠で放送された『ケーキ屋ケンちゃん』は、ライオン油脂・ライオン歯磨(現・ライオン)の一社提供で制作された「ケンちゃんシリーズ」の第4作にあたります。本作の最大の特徴は、主人公の家庭を当時の子どもたちにとって憧れの象徴であった洋菓子店に設定した点にありました。
当時、高度経済成長期の日本において、ショートケーキやシュークリームは特別な日のごちそうでした。街角のケーキ屋を舞台に、元気いっぱいで少しおっちょこちょいなケンちゃんが巻き起こす日常の騒動と成長は、全国の子どもたちのみならず親世代の心をも鷲掴みにしたのです。
さらに作品の求心力を決定づけたのが、宮脇康之自身が歌った主題歌「ケーキ屋ケンちゃん」でした。作詞・若林一郎、作曲・菊池俊輔という昭和歌謡・アニメ音楽界の巨匠コンビが手掛けた軽快なメロディと親しみやすい歌詞は、レコード発売とともに大ヒットを記録。学校給食の時間や下校時の商店街など、日本中で口ずさまれる大衆歌となりました。