多くの若手俳優が「爽やか路線」で安全にキャリアを積む中、彼はあえて泥まみれの道を選んだ。その決定打となったのが、青山真治監督の『共喰い』(2013年)だ。昭和の退廃的な空気が漂う川辺の町で、暴力的な父親の血に怯える高校生を演じた菅田は、それまでの「フィリップ」のイメージを完全に払拭した。
さらに『そこのみにて光輝く』(2014年)での、粗暴だが家族思いの青年・拓児役。汗とタバコの煙にまみれ、社会の底辺で喘ぎながらも生きていく姿は、観客の胸を締め付けた。ここで見せた、生理的な嫌悪感と愛おしさを同時に抱かせる演技こそ、彼の真骨頂だ。綺麗な役ばかりを求めていては、決して到達できない領域に、彼は十代の終わりにしてすでに足を踏み入れていた。