招待状に記された「平服(へいふく)でお越しください」という一文を巡っては、ネット上でも毎年のように悲劇的な相談が寄せられます。日本語における「平服」という言葉の日常的な意味合いから、「普段着でいいのか」「ポロシャツやノーネクタイで出席しても大丈夫なのか」と誤解する参列者が後を絶ちません。
冠婚葬祭における「平服」とは、「正礼装(モーニングやタキシード)を着る必要はありませんが、格式ある場にふさわしい略礼装(ダークスーツ)でお越しください」という主催者側の謙譲表現です。決して普段着やビジネスカジュアルを意味するものではありません。この暗黙のルールを知らずにジャケパンスタイルやノータイで出席した場合、周囲がフォーマルなスーツで統一されている中で耐え難い居心地の悪さを味わうことになります。
もう一つのネット上の誤解は、「20代の若手ならリクルートスーツで代用しても許される」という俗説です。就職活動用のリクルートスーツは耐久性を重視したポリエステル混紡の硬い生地が多く、フォーマルなウールのドレープ感や光沢感とは明確に異なります。成人した社会人として友人の晴れ舞台に立ち会う以上、リクルートスーツのそのままの流用は避け、せめてネイビーのダークスーツを新調するか、レンタルサービスを活用してフォーマル用の仕立てを用意するのが礼儀です。