手のひらは、全身の皮膚の中でも特に角質層が厚く皮脂腺が存在しないという特殊な構造を持っています。皮脂膜による天然のバリア機能が働かないため、水分の保持はもっぱら「天然保湿因子(NMF)」と「細胞間脂質(セラミドなど)」、そして適度な「汗」に依存しています。この繊細なバランスが崩れたとき、角層細胞同士の結合が緩み、表皮がポロポロと剥がれ落ちてしまいます。
臨床現場で確認される主な発症要因は、大きく分けて以下の5つに分類されます。
第一に挙げられるのが汗疱(異汗性湿疹)です。汗を分泌する汗管が一時的に詰まり、皮膚内部に汗が溜まって小さな水疱を形成します。水疱が吸収される過程や破れた後に、薄皮がリング状にめくれてきます。
第二に、水仕事やアルコール消毒、洗剤の頻繁な使用によって角質層が削られる進行性指掌角皮症(主婦湿疹・手湿疹)です。利き手の親指や人差し指の指先から始まり、次第に手のひら全体へ乾燥と皮剥けが広がります。
さらに、春先や秋口など季節の変わり目に手の皮がむける自律神経の乱れ、精神的緊張や睡眠不足からくるストレス性の免疫低下、そして見落とされがちな白癬菌(手水虫)や掌蹠膿疱症といった疾患が潜んでいます。