アニメ『ドラゴンボール』の放送がスタートしたのは1986年2月26日。フジテレビ系列の水曜夜7時というゴールデンタイムにおいて、鳥山明氏による冒険活劇を彩る初代オープニングとして放映されたのが『魔訶不思議アドベンチャー!』である。
制作当時、東映動画(現・東映アニメーション)と日本コロムビアは、これまでのロボットアニメや少年漫画ソングとは一線を画す「底抜けに明るく、広大な世界へ飛び出したくなる楽曲」を求めていた。そこで白羽の矢が立ったのが、数々のヒット曲を世に送り出していた作詞家・森雪之丞氏と作曲家・池毅氏である。
作詞を手掛けた森雪之丞氏は、後に数多くのメディアインタビューで「原作漫画が持つ圧倒的な躍動感とナンセンスなユーモアをそのまま言葉に凝縮させたかった」と振り返っている。一般的な仏教用語の「摩訶不思議」ではなく、あえて「魔」の字を当てた『魔訶不思議』という表記には、魔族やドラゴンボールというオカルティックかつファンタジックな要素を織り交ぜるという独自の意図が込められていた。そして、サビの冒頭に配された「つかもうぜ! DRAGON BALL」というストレートなフレーズは、視聴者である子供たちに主人公・孫悟空と同じ視点で冒険へ没入させる決定打となった。
一方、作曲の池毅氏は、先行していた『Dr.スランプ アラレちゃん』の主題歌『ワイワイワールド』などを手掛けたアニソン界のメロディメーカー。池氏はブラスセクションを前面に押し出したファンキーで疾走感のあるリズムを構築し、イントロのホーン隊のフレーズから一気にテンションを最高潮へと導く構成を完成させた。当時としては極めて斬新だったブラックミュージックやディスコ歌謡の要素を取り入れたサウンドメイクが、40年を経ても古びない音楽的強度の源泉となっている。