静かな寝室で横になると、なぜ昼間以上にネガティブな考えが頭を巡るのでしょうか。近年の脳科学および認知神経科学の知見によると、この現象には脳のデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)の過剰活動と自律神経のアンバランスが深く関わっています。
日中、仕事や家事など特定のタスクに集中している間は、脳の実行機能ネットワークが働き、雑念は抑え込まれています。しかし、夜間に刺激が途絶え、暗闇の中で何もしない状態になると、脳は自動的にアイドリング状態であるDMNへと切り替わります。日中に蓄積した過度な脳疲労や慢性的なストレスを抱えていると、このDMNが暴走し、過去の出来事や未来への懸念を無目的に探索し続ける夜のぐるぐる思考の原因となります。
さらに夜間は、理性を司る「前頭前野」のエネルギーが消耗している一方で、不安や恐怖を察知する「扁桃体」の感受性が相対的に高まります。感情を制御するブレーキが利きにくくなっている時間帯に思考を巡らせるため、昼間なら気にも留めない小さな懸念が、夜間には深刻な危機のように感じられてしまうのです。