炊飯を成功させるうえで、水加減と同じくらい重要なのが「浸水」と「炊飯モードの選択」です。ここにも一般的な炊飯とは異なる物理的・化学的な罠が潜んでいます。
まず解明すべきは、もち米浸水時間の真相です。白米を炊く際は「夏場30分、冬場1時間以上しっかり浸水させる」のが常識とされています。しかし、もち米とうるち米には大きなもち米うるち米吸水率の差が存在します。うるち米が最大吸水率(約20〜25%)に達するまで60〜90分程度を要するのに対し、もち米は組織の隙間が広いため、わずか15〜20分程度で急激に水を吸い上げ、約30分でほぼ飽和状態に達します。
もしもち米を白米と同じ感覚で1時間以上も水に浸けてしまうと、米粒の外側が水を吸いすぎて脆くなり、加熱時にデンプンが外へ溶け出してしまいます。これが「べちゃべちゃになる原因と対策」を考える上で見落とされがちな盲点です。ブレンド炊飯時の浸水時間は、「全体で20〜30分程度」に抑えるのが理にかなった科学的アプローチです。
次に、炊飯器の機能面であるおこわモードと普通炊きの違いを整理しておきましょう。炊飯器の「おこわモード」は、もち米100%の調理を前提に設計されており、加熱初期の温度上昇を緩やかにして余計な水分を飛ばすプログラムが組まれています。しかし、白米を半分以上混ぜたブレンド米でおこわモードを選択すると、白米側に十分な水分が行き渡らず、芯が残る原因になることがあります。
白米ともち米を一緒に炊く場合は、「通常炊飯モード(白米モード)」を選び、物理的な水加減を目盛よりわずかに減らす設定が最も安定した仕上がりを生み出します。
また、時短のために頼りがちな炊飯器早炊き設定の注意点も知っておく必要があります。早炊きモードは浸水工程をカットし、一気に強火力で沸騰させるプログラミングです。吸水スピードが異なる二種類の米を早炊きにかけると、もち米表面の糊化だけが急進して内側の白米に熱と水分が届かず、「外側はドロドロなのに噛むと芯がある」という最悪の状態に仕上がってしまいます。早炊き設定は避け、通常の炊飯サイクルでじっくり火を通すのが鉄則です。