映画『シュガー・ラッシュ』の舞台となったお菓子のレース王国は、単なる架空のファンタジーではない。開発背景には、1980年代から90年代にかけてアーケードゲーム黄金期を築き上げた実在のタイトル群へのオマージュが色濃く反映されている。特に、カラフルでポップなコースデザインとハイスピードなレース展開は、セガの『アウトラン』や『パワードリフト』、そして任天堂の『マリオカート』シリーズといった伝説的タイトルの遺伝子を強く受け継いでいる。
当時、ゲームセンターで100円玉を積み上げてプレイした世代にとって、筐体のハンドルを握るワクワク感は特別なものだった。作中で描かれる『シュガー・ラッシュ』の筐体も、可動式シートやキャビネットのディテールに至るまで当時のアーケードゲーム文化に対する愛が注ぎ込まれている。こうした現実とディフォルメの絶妙なバランスこそが、老若男女の心を掴む大きな要因となったのだ。