ビッグベンの鐘の音を聞いたとき、多くの日本人が不思議な親近感を覚えます。それもそのはず、日本の学校や公共施設で広く使われている「キーンコーンカーンコーン」というチャイムのメロディは、このビッグベンの鐘の音(ウェストミンスター・チャイム)が原点だからです。
エリザベスタワーには、中央の巨大な「大時鐘」を取り囲むように、4つの「四分音鐘(クォーターベル)」が配置されています。15分ごとに4つの鐘が異なる音階を奏で、正時(0分)になると美しいメロディの後に、大時鐘が時刻の数だけ重厚な低音をロンドンの街に響かせます。
この時計機構の驚くべき点は、160年以上前の機械式時計でありながら、極めて高い精度を誇っていることです。驚くべきことに、現在でも振り子の上に古い「1ペニー硬貨」を載せたり降ろしたりすることで、1日あたり0.4秒単位の微細な時刻調整を行っています。伝統的なクラフトマンシップと物理の原理が見事に融合した、生きた機械遺産と言えます。