視聴者や演劇ファンの間で長年語り継がれているのが、中村梅之助と中村梅雀の驚くべき類似性です。ふくよかで柔らかな顔立ち、目元を細めて微笑む温和な表情、そして観る者を安心させる佇まいは、まさに生き写しと言っても過言ではありません。
ビジュアルだけでなく、声のトーンやセリフの抑揚、絶妙な間(ま)の取り方に至るまで、その共通点は多岐にわたります。特に時代劇で見せる町人や同心の軽妙な立ち振る舞いには、往年の梅之助ファンが思わず息をのむほどの面影が宿っています。
二人は劇団前進座の舞台はもちろん、テレビドラマでも共演を果たしています。父が長年主役を務めた捕物帳シリーズや特別時代劇などで顔を合わせた際には、言葉を交わさずとも通じ合う阿吽の呼吸を見せ、息の合った掛け合いで視聴者を大いに沸かせました。