近年、InstagramやX(旧Twitter)では、愛犬が美しい円を描いて眠る姿に「#ワンモナイト」のハッシュタグを添えた投稿が数十万件規模で共有され、多頭飼いの家庭で寄り添い合う「犬団子」とともに大きな反響を呼んでいます。ベッドの丸いクッションにすっぽり収まる姿は視覚的な愛らしさに満ちており、ペットオーナーの間では「冬の風物詩」として定着しています。
しかし、ペットメディアや獣医療の現場からは、このブームに対して注意を促す声も上がっています。雑誌『いぬのきもち』獣医師相談室の原駿太朗獣医師をはじめとする複数の臨床獣医が指摘するように、丸まる行為は単なる微笑ましい仕草にとどまらず、生物学的な必然性に基づいているからです。
犬ベッド専門通販サイト「MofuRoom」などの監修データによると、野生時代のイヌ科動物は、地面に窪みを掘り、冷たい外気を遮断しながら急所の腹部と鼻先を守るためにこの姿勢をとっていました。つまり、現代の室内犬であっても、ワンモナイトになる理由の根底には「冷えの回避」と「自己防衛」が存在します。
動物病院の診察現場からは、飼い主の次のようなリアルな相談事例が報告されています。
「SNSで流行っているように綺麗に丸まって寝ていたので、可愛いと写真を撮っていた。しかし翌朝になっても起き上がれず、診察に連れて行ったら激しい腰痛(椎間板ヘルニア)を発症していた」「ただ丸まっているだけだと思っていたら、実は室温16℃の冷え込みに震えながら耐えていた」
可愛い寝姿を愛でること自体は飼い主の特権ですが、その背後にある環境温度や愛犬の細かな仕草から目を逸らしてはなりません。デジタル空間の「映え」だけに目を奪われることなく、目の前にいる愛犬のコンディションを正確に汲み取る冷静な視座が求められます。