席に案内されたら、まずは窓外に目を向けてほしい。晴れた日には遠く北信の山々がどこまでも連なり、四季折々の表情を見せてくれる。この絶景こそが、よこ亭における最高の薬味だ。
運ばれてきた蕎麦は、まずつゆにつけず、二、三筋そのまま手繰る。口内に広がる穀物の力強いアロマと、清らかな冷水でキュッと締められたコシを確かめるためだ。続いて、信州ならではの辛味大根や本わさびを蕎麦の上に直接少しのせ、鰹節が芳醇に香る濃い口のつゆに三分ほど浸して一気に啜り込む。喉越しとともに抜ける清涼感は、まさに至福の境地。揚げたての地場産野菜天ぷらを合間に挟み、最後は白濁した濃厚な蕎麦湯でつゆを割って胃袋を温める。訪れる者すべてを無言の幸福感で包み込む理由が、その一杯のなかにすべて凝縮されている。 (出典: そば 処 よこ 亭(Yahoo!ニュース))
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