ストリートカルチャーのアイコンともなったマジックミラー号に代表される空間演出において、彼が発揮した企画演出の才覚は群を抜いていた。密閉された特殊空間が生み出す心理的緊張と、外の世界とのコントラスト。特殊な状況下で人間が露わにする本音のリアリズムを巧みに引き出す手腕は、類稀なものだった。
ギミック先行に見える仕掛けの奥底に、濃密なドキュメンタリードラマの構造を埋め込む。台本通りの台詞ではなく、予期せぬアクシデントや本物の動揺をドラマの推進力に変えてしまう演出術。これこそが、単なる企画モノで終わらせない作家性の真骨頂である。