ネット上のチュートリアルやSNSでは「デッサンを意識して輪郭を綺麗に取る」「服のシワを細かく描き込む」といったアドバイスが散見されますが、初心者にとってはこれが大きな落とし穴になります。かわいさを引き出すデフォルメイラストにおいて、リアルな陰影や複雑なシワ描写はかえって画面を重くし、親しみやすさを損なう要因となります。
動物行動学者コンラート・ローレンツが提唱した「ベビーシェマ(幼形成熟特性)」の理論によると、人間は「顔の中央にある大きな目や丸いパーツ」「ふっくらした輪郭」「2頭身前後の丸みのあるプロポーション」に対して本能的に保護欲や愛着を抱きます。サンタクロースのイラストが世界中で親しまれているのも、この視覚的特徴が凝縮されているためです。
認知心理学における「視覚的補完」の働きにより、人間は「赤い三角帽子」「白いもこもこヒゲ」「丸い鼻」という3大要素さえ揃っていれば、省略された線であっても脳内で自然にサンタクロースとして認識します。細部を描き込もうと力む必要はなく、記号の特徴を素直に配置することこそが失敗を防ぐ最短ルートです。